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八重洲無線 FT-100 ロータリーエンコーダーの修理方法(分解移植)

こんにちは、所長のにゃまんです。

最近は本業とは関係ないネタばかりですが、今回は無線機の修理ネタです。

取引先の社長さんがアマチュア無線をやっておられ、車に積んでいる無線機の調子が良くないとのことで見て欲しいと頼まれました。

ロータリーエンコーダーが不調のようで、ツマミを回しても数字が思うように変化しません。
時計回りに回すと数字が増えるはずですが、変化しなかったり、逆に減ったり。

とりあえず預かって見てみることにしました。

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不調の原因

今回お預かりしたのは八重洲無線(YAESU)のFT-100という無線機ですが、ネットで調べてみるとロータリーエンコーダーの不調が多いようです。

ロータリーエンコーダーには、フォトセンサーを使った光学式やホールセンサーによる磁気式、機械接点式がありますが、この無線機では中央のツマミは光学式、左下のツマミには機械接点式が使われています。今回不調なのは、機械式接点のほうになります。

光学式や磁気式は機械的な接点がないため故障が少ないのですが、機械式は内部の接点が回転による摩耗で接触不良を起こしやすくなります。

では早速、無線機のパネル部分を分解してみます。

YAESU FT-818ND (HF/50/144/430MHz帯)オールモードトランシーバー

分解方法

まず、パネルの「AF/SQLツマミ」と「SELECTツマミ」を抜き取ります。


次に、ナット(2個)を外します。特殊なナットまわしが必要ですが、ナットのくぼみにピンセットを差し込んで回すこともできます。


パネルの裏蓋を止めているネジ2本を外します。


裏蓋を開き、基板に繋がっているフラットケーブルを外します。コネクタのロックを矢印の方向にスライドさせロックが緩んだら、フラットケーブルを抜きます。


ロータリーエンコーダーに繋がるコネクタプラグを矢印の方向へ引き抜きます。


パネルから基板を抜き取ります。
これが問題のロータリーエンコーダーです。


これが交換用として用意したロータリーエンコーダーです。クリック数は、元々付いている物と同じく30です。

見てお判りだと思いますが、元々付いているエンコーダーのシャフトはギザギザにセレーションカットされているのですが、交換用で用意できたのはシャフトがDカットされた物です。

現在は、セレーションカットの物はメーカーからも入手できないようです。

このタイプのロータリーエンコーダーは、シャフトの形状が違っても内部構造は同じことが多く、円盤状の回転部からシャフトが抜ければ、シャフトだけ入れ替えが可能です。


まず、パネルに付いているロータリーエンコーダーを分解してみます。
軸受け部分はカシメにより4か所で固定されています。

Y字に開いている部分を、両側から細いマイナスドライバーの先でこじって縦にします。
この作業が一番難しいと思います。


あとは、軸受け部分を持ち上げるとシャフトごと外れます。


交換用のロータリーエンコーダーも分解してみます。

思った通り、シャフト以外は全く同じ形状でした。
左が不調品、右が交換用です。不調品はグリスがスラッジのように茶褐色に変色しています。拭き取れば一時的には復活するかもしれませんが、できれば交換したほうが良いですね。


回転部はシャフトから簡単に抜けますので、交換品と入れ替えます。シャフトと軸受け部分は再利用します。


台座部分も交換します。
5か所半田付けされていますので、吸取線か吸取器で半田を取り除きます。


交換用の台座に付け替えて、5か所を半田付けします。


先ほど新しい円板に付け替えた「軸受け+シャフト」部分を台座の上に組み付けます。


カシメ部分(4か所)をマイナスドライバー等でY字に開いて軸受け部分を固定します。
完全にカシメるのは難しく、僅かに台座部分に隙間ができますが、軸受け部分が取れたり大きくぐらつかなければ問題ありません。

それと、接着剤は使用しないでください。揮発性の接着剤は問題外ですが、エポキシ系などでも止めておいたほうが良いと思います。


ロータリーエンコーダーを左右に数回転ずつ回してみて、引っ掛かりなどが無いことを確認します。問題なければ、分解時と逆の順でパネルを組み立てます。
可能でしたら、パネルを組む前に仮接続して動作を確認してみてください。

組付けの際、パネルの表示部(内側)とLCDの表面にゴミが付着していないか確認してください。エアーダスターなどで吹いておくと良いかもしれません。

まとめ

無事、スムーズに数字が変化するようになりました。

交換用の部品が手に入れば、あとは分解して交換するだけですので、腕に自信があるかたは試してみてください。

交換用のロータリーエンコーダーですが、プッシュスイッチ無しやクリック数が異なる物も多く出回っていますので注意してください。

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コメント

  1. 渋谷 環 より:

    FT-100のエンコーダー関係を検索して貴殿のサイトを見つけました。
    画像と説明が丁寧で参考になりました。

    ただ、地方なので部品も手に入らず知識もウデも無いので・・・
    困ってます。

  2. nyaman より:

    コメント頂きましてありがとうございます。
    ご参考になったとの事でうれしく思います。

    もう少し簡単に交換できれば良いのですが、半田を吸い取ったりしなければならず結構手間がかかるかもしれません。
    結構困っている方がいらっしゃるので、交換サービスを始めようかと考えています。

  3. 渋谷 環 より:

    交換サービスしていただければありがたいですね。
    また遊びにきます。

  4. 村富正典 より:

    こんにちは、大変参考になりました、メインのエンコーダを交換したいのです、デスブレー
    ユニットのネジを外し、ケーブル二本抜きましたが、基盤は外れません、ネジで止まっている、
    のでしょうか、むりに剥がせば割れそうです。
    基盤のはずし方を教えていただけませんか。

    • nyaman より:

      お返事が遅くなり申し訳ありません。
      パネル表側のツマミ3つのナットを外すと基板も外れますのでお試しください。

  5. 村富正典 より:

    貴殿のもう一つのサイトを見てわかりました、ナット3個で固定しているのでいるのですね、
    助かりました、ありがとうございます。

    • nyaman より:

      お返事が遅くなり申し訳ありません。
      おっしゃる通りナット3つを外せば基板も外れます。
      少しですがお役に立ててうれしいです。

  6. あおき より:

    交換部品の品番、や入手先が公表されていません、教えてください

  7. 柴田敏弥 より:

    大変参考になりました。しかし自分では出来そうにありません。交換サービスはされていないのでしょうか、

    • nyaman より:

      コメントありがとうございます。
      他の方からも交換して欲しいとご要望があるのですが、他の部分まで壊してしまっては大変なので、今のところ交換サービスは考えていません。
      すみません。