こんにちは、所長のにゃまんです。
仕事柄、取引先からパソコンの修理などを頼まれることがあります。
本業ではないのですが、頼まれると断れないんです。
今回も、とりあえず引き取って見てみる事にしました。
目次
不具合内容
今回頼まれたのは、東芝のノートパソコン(ダイナブックT552)です。
つい先日まで快調に使えていたのに、急に電源が入らなくなったそうです。
電源のLEDが点灯する場合は、BIOSのデータが飛んでいる可能性がありますが、このPCの場合は、LEDも点灯せず電源ボタンを押しても全く反応がありません。
ハード的に故障しているようです。
電源が入らない原因で良くあるのが、ACアダプタのケーブルの断線やACアダプタ自体の故障ですが、出力プラグには電圧19Vが出ているのでACアダプタでも無さそうです。
メーカーで修理した場合
東芝のサイトで概算の修理料金を調べる事ができます。
「dynabook」→「電源が入らない」→「DC-IN LEDが消灯」で調べてみると、「ACアダプタまたは、マザーボードの故障が考えられる」と出ました。
で、マザーボード交換の修理金額を見てみると。
税込み20,606円~となっているので、もっとかかるんでしょうね。
分解方法
では、早速分解してみます。
まず、バッテリーを外します。
次に、HDDが収納されているカバーを外します。
(ネジ一本外すとカバーが外れます)
固定しているネジを1本を外して、HDDを矢印の方向にスライドさせてから外します。
スライドさせないまま持ち上げると、コネクタが割れるので注意。
裏蓋を固定しているネジを外します。(10本以上)
外したネジの形状と取付位置が判るようにしておいてください。
裏蓋を外しますが、ネジの外し忘れが無い事を十分確認してください。
無理に外そうとすると簡単にケースが割れてしまいます。
バッテリーが付く部分の内側に爪がありますので注意。
裏蓋を外した状態。
この状態で、ACアダプタを挿してみます。
DCジャックから基板に繋がっている赤黒線(写真右側)を測ってみると19Vかかっています。
ちなみに、ここに電圧がかかっていない場合は、DCジャックの不良かもしれません。
故障原因
写真中央にある8本足の部品2個がFET(N4800LS)ですが、ONになりません。
電源回路から先の電源ラインの抵抗を測ってみると、0Ωでショート状態になっています。
電源ラインのパスコンに積層セラミックコンデンサが多く使われていますが、積層セラミックや、タンタルコンは、一般的にショートモードで故障します。
他の部品が故障しても0Ωになる事は考えにくいので、積層セラミックの可能性が高いです。
電源ラインがショートしていたら燃えそうなもんですが、多分、ショート状態ではFETがONにならないようになっているのでしょう。
積層セラミックコンデンサの故障モードについて、下記で判りやすく説明されています。
と、ここまで判りましたが、ここからが大変。
ショートモードで壊れる時はクラックが原因なので、チップ表面にクラックが出ていれば目視でも見つける事も可能ですが、見えない部分にクラックが入っていた場合、半田ゴテで外して確認するしかありません。
積層セラミックは基板上に沢山付いているので、シラミつぶしに一個一個見ていくしかありません。
不良チップ発見
ルーペを使い10個ほど見たところで見つけました。
問題のチップコンがこれ。(外す前に撮った写真です)
一見、何でも無さそうですが、
よく見るとチップ右側にクラックが入っているのが判ると思います。
早速、外してテスターで測ってみたところ見事に0Ωでした。
元々の容量が判らないので、とりあえず手持ちの1uFのセラコンを付けました。
パスコンなので、1uF辺りで大丈夫なはず。
セラコンを交換後、電源ラインを測ってみましたが今度はショートしていません。
この状態で、ACアダプタを挿してみたところ電源のLEDが点灯するようになりました。
あとは、分解した時とは逆の手順で組み立てていきます。
無事に起動するようになりました。
まとめ
電源のLEDが点灯しなくて、ACアダプタも異常がなければ、電源ラインのコンデンサ不良の可能性があります。
腕に自信がある方は、修理してみてはいかがでしょうか。
成功すれば、数万円の修理代が浮くかもしれません。
コメント
大変ためになりました。
自分のPCも同じような症状なので
セラコンを交換してみようかと思うのですが
何Vの1μFのセラコンを使用したのでしょうか。
よろしければ教えて下さい。
よろしくお願いします。
お返事が遅くなり申し訳ありません。
耐圧ですが、手持ちの部品で詳しくは判らないのですが、多分25Vか50Vだと思います。
電源ラインに並列に繋がっているコンデンサなので、電源電圧以上であれば問題ないと思います。